結局SixTONES VS Snow Manとは何だったのか
2019年8月8日、東京ドームで行われたジュニアコンサートでSixTONESとSnow Manの二組同時デビューが発表されました。King & Princeがデビューしてから2年近く経ち、時期的にも妥当だったのでデビュー自体にはそんなに驚きませんでしたが、2組同時デビューという形をとったことには驚きました。アイドルという文化・コンテンツを好む私的にも興味深い出来事だったので勝手に考察していきます。
(念のため断っておきますが、いずれかのグループを批判するといった意図はありません。)
結論として、VS形式はSnow Manのためにあったんじゃないかと私は思っています。
理由として考えられるのは二者の人気の違い。
SixTONESはバラエティー番組やラジオ番組、ドラマなどマスメディアでの活躍がほとんどで大衆向けの活動を積極的に行っています。デビューしたグループには、ジャニーズブランドを広く知らしめ‘’ジャニーズ‘’に還元するという役割が期待されますし、そういう役割を果たせるであろうグループを事務所はデビューさせてきたのです。まだ完全な形ではないものの、メンバーそれぞれが活躍するメディアを確立させていっているあたりは従来のジャニーズのあり方と変わりません。大衆向けコンテンツを展開するSixTONESに対して、Snow Manは供給の多くが既存ファン向けです。冠番組『それSnow Manにやらせて下さい』は初回こそ地上波で放送したものの、その後は有料配信サービスに移行しています。(そもそも初回の地上波も十中八九配信への導入だったのでしょう)また、デビュー会見では春からのアジアツアーを発表していました。デビュー直後の有料コンテンツはオタクの購買力の評価といえます。それぞれの名義での販売となった2ndシングルの初週売り上げはSixTONESが65万枚、Snow Manが93万枚とその差が大きく開きました。サブスクリプションが主流となった現代は音盤の売り上げと流行が一致しないことも多々あり、流行った曲の音盤が売れるとは限りませんし、逆に流行ってなくてもオタクが強ければオリコンウィークリーで1位を取ることも可能な時代なのです。あんなに流行したOfficial髭男dismの『Pretender』もオリコン*1最高位は9位にとどまっています。*2VS構造はオタクの購買意欲をあおることができますし、特にSnow Manには購買力のあるファンがついていることがわかっていたのでしょう。(ジュニアに関しては具体的な数字が公になる指標がないので憶測になりますが。)
しかし、いくらSnow Manにオタク人気があったとしても、大衆人気が得られないのであればデビューする必要はありません。King & Princeがデビューした時点で一番年下でも25オーバーのSnow Manは新グループとしては年齢が高すぎて外部での仕事では正直扱いづらくなり、より一層大衆人気からは遠くなります。そんな中追加された3人のメンバーは、明らかに大衆受けが意識された人選でした。事実、2021年現在レギュラー番組をもっているのは向井くん・目黒くんの2人です(阿部くんのは毛色が違ってくるのでここではカットします)。ラウール君も若手ジャニーズ王道の少女漫画の実写映画で主人公を務めていました。いわゆる、「ジャニーズっぽい仕事」をこなしているのは追加メンバーの3人であり、言い換えればデビュー組としての務めを果たしているのは追加メンバーの3人です。こういった仕事をこなしていない初期メンバーがダメ、ということを言いたいのではなく、なぜ大衆受け要員を追加してまでSnow Manをデビューさせたかったのか、いろいろと邪推してしまいます。個人的な憶測を述べるとするならば、ここには滝沢副社長の思惑があったのではないかと私は感じています(ジャニーさんならばグループを解体して新たなグループを作ることはあっても、デビューさせようと考えているグループにメンバーを追加するということはしないのではないかという推測)。
現在、世界的に見てもアイドルはオタク人気と大衆人気によってそれぞれの道をたどっています。ジャニーズが変わらず大衆人気を得ることを目的としたアイドルを作り続けるのか、はたまたオタク人気路線に舵を切るのか、SixTONES、Snow Manの同時デビューはジャニーズ史を語るうえで欠かせないものとなっていくでしょう。